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傾斜がきつい広場の下から見上げる教会堂は、地下からせり上がって見える。十字架を背負ったトカゲが四足を踏ん張っているようにも見える。平べったく情けないほど中途半端な建物。 物事には事情がある。丘を掘って埋め込まれた礼拝堂を一階と呼ぶとすれば、控え室のような二階までしかない。本来の二階から上は、建造中にスペインで内乱が勃発したり、施工主であったグエル家が没落したため、建造中止となったのだ。 サグラダ・ファミリアやカサ・ミラ、カラ・バトリョのような派手さもないし完成度も比較にならないが、この教会堂を称して「アントニオ・ガウディ建築の最高傑作」と評価する人たちは多い。それは中に入るとわかる。 |