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人には誰しも転機がある。サグラダ・ファミリア大聖堂の主任建築士に就任して十年、他の建築物の設計に追われ華やかさに浸り青春を謳歌していたガウディ。大聖堂の基本設計を完成できないガウディは大いに悩んだ。その悩みと試みが凝縮された建築物が「コロニア・グエル地下教会堂」といわれている。 教会堂へはバルセロナから電車で30分ほど西へ走り、無人駅で下車する。駅のホームに降り立つと目の前には急な坂が迫ってくる。林の中に鉛筆で線を入れたような心細い獣道を登り切り、小高い丘を下り始めると、左手の松林の中に教会堂が現れる。ひなびたとしか形容できない教会堂。小道を降りていくと、小さな広場に出る。 (1999年12月30日 記) |