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サグラダ・ファミリアの鐘楼を上り下りする階段

■あなたは、螺旋(らせん)構造に惹かれませんか? ■螺旋という言葉を国語辞典(三省堂「新明解国語辞典」)でみると、「巻貝の殻のようにぐるぐる回りながら次第に上(下)っていくもの」と説明されている。■螺旋は英語でスパイラル。spiralという言葉を英英辞典(A Dictionary of Current English for Advanced Lerners)で確認すると、「advancing or ascending continuous curve winding round a central point」とある。つまり、中心に巻きつきながら上(下)っていく連続曲線が螺旋だ。
■サグラダ・ファミリアの鐘塔には螺旋階段が設置されている。■そのような螺旋階段を実現できた理由のひとつは、当時、カタルーニャ・ヴォールトという強固な曲面構造を安価にしかも容易に施工できる技術があったからだ。■薄く平べったいレンガをしっくいで交互に貼り合わせたカタルーニャ・ヴォールトは、乾燥すると岩より硬くなる。■グエル邸の地下やグエル別邸の屋上、サンタ・テレーサ学院の外壁など、そのむき出しの施工を見ることができる。
■カタルーニャ・ヴォールトを使ったほとんどの建築物は、その外観を積み石や化粧石、漆喰やタイルでおおっているため、レンガ作りだとはわかりづらい。ガラフのグエル酒造がその典型だろう。■バルセロナにある建築物のほとんどの床材はカタルーニャ・ヴォールトでできているらしい。■頑丈で安価で曲面構造を施工しやすい原産レンガが、ガウディ建築に螺旋構造を可能にした、といっても過言ではない。Next

(2004年8月12日  記)

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